Impregnation / Filling
含浸処理(がんしんしょり)
Treatments
処理と加工
SUMMARY
エメラルドなどの傷を隠すためにオイルや樹脂を浸すこと
エメラルドは「キズのないエメラルドを探すのは、欠点のない人間を探すより難しい」と言われるほど、内包物や亀裂が多い宝石です。そのため、古くから無色のオイルや樹脂を染み込ませて、キズを目立たなくする処理が行われてきました。
これはエメラルドにとってはお肌の保湿ケアのようなもので、一般的な処理として認められています。ただし、超音波洗浄機にかけたり、洗剤でゴシゴシ洗ったりすると、オイルが抜けて白っぽくなってしまうことがあるので注意が必要です。
一方で、ルビーなどに「鉛ガラス」を含浸させて透明度を上げたものは、耐久性が低く、価値も天然とは大きく異なるため、購入時にはしっかりとした説明を受ける必要があります。
これはエメラルドにとってはお肌の保湿ケアのようなもので、一般的な処理として認められています。ただし、超音波洗浄機にかけたり、洗剤でゴシゴシ洗ったりすると、オイルが抜けて白っぽくなってしまうことがあるので注意が必要です。
一方で、ルビーなどに「鉛ガラス」を含浸させて透明度を上げたものは、耐久性が低く、価値も天然とは大きく異なるため、購入時にはしっかりとした説明を受ける必要があります。
オイル含浸 vs 樹脂含浸 vs 鉛ガラス含浸 - 比較表
エメラルドのオイルケアが「日常的なお肌の保湿」だとしたら、ルビーの鉛ガラス含浸は「大がかりな美容整形」といったところでしょうか。一口に「含浸(がんしん)」と言っても、石の種類や流し込む素材によって、業界での扱いや価値はまったく変わってきます。違いをわかりやすく表にまとめました。
| 処理の種類 | 主な対象宝石 | 目的と特徴 | 業界での扱い・価値 |
|---|---|---|---|
| 無色オイル含浸 | エメラルド | 表面に達する微細なキズに天然オイルなどを染み込ませて透明感を上げる、伝統的な手法。 | 昔から認められている「一般的なケア」。宝石としての価値を大きく損なうことはありません。 |
| 樹脂含浸 | エメラルドなど | オイルの代わりに、より抜けにくい人工樹脂を流し込む手法。オイルよりも長持ちします。 | 一般的ですが、天然由来のオイルを好むコレクターも。基本的にはオイル含浸と同等に扱われます。 |
| 鉛ガラス含浸 | ルビーなど | ヒビだらけで不透明な低品質の石に鉛ガラスを溶かし込み、強引に透明に見せる手法。 | 本来の天然ルビーとは「別物」扱い。価格は非常に安く、酸に弱いなど耐久性も低めです。 |
購入時チェックリスト(こんな鑑別書・こんな説明には要注意!)
いざ買うとなると、「この石、本当に大丈夫かな?」と少し不安になりますよね。専門的な知識がなくても、自分で身を守るための分かりやすいチェックポイントをまとめました。こんな鑑別書や、こんな店員さんの対応には、少し注意してみてください。
【鑑別書を見る時のポイント】
- 鑑別書(またはソーティング)自体がない:高額なエメラルドやルビーを買う場合、石の身分証明書がないのは少し不安が残ります。
- 備考欄に『鉛ガラス含浸』などと書いてあるのに説明がない:本来の天然石とは価値が大きく異なる処理がされているのに、お店側から事前にしっかりとした説明がない場合は要注意です。
- 「天然無処理の最高級品です」と言われたのに、備考欄に処理の記載がある:店員さんの言葉と、鑑別書に書かれている事実が違う場合は、購入を一旦保留にした方が安心です。
【店員さんとの会話のポイント】
- 「どんな処理がされていますか?」への答えが不自然:エメラルドのほとんどはオイルによる保湿(含浸)がされています。それなのに「天然石だから何もされていませんよ」と即答する店員さんは、知識不足か、都合の悪いことを隠しているかもしれません。
- お手入れ方法を聞いても「何でも大丈夫」と言い切る:エメラルドに超音波洗浄機は絶対NGです。そういったデリケートな石の性質やリスクをきちんと注意喚起してくれないお店は、アフターケアの面でも少し心配ですね。
- 処理について質問すると言葉を濁す:誠実なお店であれば、どんな処理がされていて、なぜその価格設定なのかを、隠さずにわかりやすい言葉で教えてくれるはずです。
少しでも「おや?」と思ったら、焦ってその場で決断せず、一度持ち帰ってゆっくり検討するのも賢いお買い物のコツですよ。
NGケア(超音波・洗剤など)
含浸処理が施された宝石(特にエメラルド)の美しさを保つために、これだけは避けてほしいNGアクションをまとめました。せっかくの保湿成分(オイルや樹脂)が抜けて、隠れていたキズが白く浮き出てしまう原因になります。
- 超音波洗浄機は絶対NG激しい振動によって、石の奥からオイルが叩き出されてしまいます。
- お湯や熱を加える温められることでオイルが溶け出したり、急激な温度変化で石そのものが割れてしまったりするリスクがあります。
- 洗剤でゴシゴシ洗う食器の油汚れを落とすのと同じ原理で、石に必要なオイルまでさっぱりと洗い流してしまいます。
- アルコールや除光液をつける手指の消毒液なども含め、化学物質は樹脂やオイルを変質・溶解させる恐れがあります。
普段のお手入れは、外したあとに「乾いた柔らかい布(セーム革やメガネ拭きなど)で優しくサッと拭く」だけで十分ですよ。