キンバーライト
Kimberlite
地底深くからダイヤモンドを運んでくる、 マントル 生まれの岩石(+その母体マグマ)
ダイヤモンドを語るうえで欠かせないのが、その「運び屋」であるキンバーライト。一見すると地味な暗緑色の岩石ですが、実は地球の深部、地下150キロメートル以上のマントル付近からダイヤモンドを地表へと一気に運び上げる、天然のエレベーターのような役割の火成岩です。

1860年代後半、南アフリカのキンバリーという町で、オレンジ川のほとりから巨大なダイヤモンドが発見されました。それまでのダイヤモンドは川底の砂利から見つかるものでしたが、この地でキンバーライトという「母岩」が特定されたことで、人類は初めて「ダイヤモンドが生まれる場所」を突き止めたのです。
キンバーライトの最大の特徴は、火山の噴火によって超高速で上昇することです。もしゆっくり上昇すれば、ダイヤモンドは地表に届く前に普通の石炭( グラファイト )に変わってしまいます。ダイヤモンドの輝きが保たれているのは、キンバーライトが猛スピードで地表へ駆け抜けた証でもあります。
原石としてのキンバーライトは、マグネシウムや鉄を多く含み、地表に出ると風化して「 ブルーグラウンド 」と呼ばれる柔らかい粘土質に変化します。現在では、南アフリカのほか、ロシアのサハ共和国やカナダの極北地帯が有名な産地として知られています。ダイヤモンドという「奇跡」を私たちに届けてくれた、無骨ながらもロマン溢れる岩石です。
キンバーライトなら必ずダイヤが入っている?(ダイヤ含有の条件)

キンバーライトという名前を聞くと、ダイヤモンドがザクザク埋まっている石を想像するかもしれません。でも実は、キンバーライトを見つけたからといって必ずダイヤに出会えるわけではないんです。
キンバーライトはあくまでダイヤモンドの「運び屋」にすぎません。ダイヤが含まれるには、いくつか厳しい条件をクリアする必要があります。まず、地下深くから上がってくるマグマが、地下150〜200キロメートル付近にある古い大陸の根っこ(クラトン)を通り抜ける際、そこにあるダイヤモンドの層を運良く巻き込むこと。
さらに、マグマはものすごいスピードで地表まで急上昇しなければなりません。もしのんびりと上がってくると、途中で圧力や温度が下がり、せっかくのダイヤモンドがただの黒い 炭素 の塊(グラファイト)に変わってしまうからです。世界中で見つかっているキンバーライトのうち、少しでもダイヤが含まれているものは全体の1割以下。さらに、採算が取れるレベルでダイヤが採れるのはたったの1%ほどと言われています。キンバーライトの中に輝く石を見つけるのは、本当に奇跡的な確率なんですね。
ダイヤモンドのもうひとつの運び屋「 ランプロアイト 」との違い
ダイヤモンドを運んでくる岩石について調べていると、「ランプロアイト」という言葉を一緒に見かけることが多いと思います。美しいピンクダイヤモンドがたくさん採掘されたことで知られるオーストラリアの アーガイル鉱山 も、実は母岩がキンバーライトではなくこのランプロアイトでした。
キンバーライトとランプロアイトの大きな違いは、成分と見つかる場所の地質です。どちらもマグネシウムや鉄が多い超塩基性の岩石ですが、ランプロアイトにはカリウムが非常に多く含まれているという特徴があります。また、キンバーライトが古く安定した大陸のど真ん中で見つかりやすいのに対し、ランプロアイトは大陸の端っこや、過去に地殻変動があったような場所で見つかる傾向があります。成分や通ってくるルートは少し違いますが、どちらも地球の奥底から私たちにダイヤモンドを届けてくれる貴重な存在です。
キンバーライトの見分け方:色(ブルーグラウンド)や見た目
実際に「これがキンバーライトだ!」と見分けるには、岩石そのものの見た目や色の変化、そして地面への入り込み方(産状)が大きなヒントになります。
まず岩石の見た目ですが、一番の特徴は、いろいろな鉱物や岩石の破片がゴチャゴチャと混ざり合った「寄せ集め」のような姿をしていることです。ベースとなる暗い色の岩の中に、緑色のカンラン石や、深紅のガーネットといった別の鉱物の粒がひとつの岩に閉じ込められているような、ちょっと不思議な模様をしています。
そして、この岩石は雨風にさらされると、風化の具合によって色がガラリと変わるという性質を持っています。地表に転がっているものは、含まれている鉄分が錆びて黄色や茶色っぽくなり、ボロボロに崩れやすい状態になっています。これが「 イエローグラウンド 」と呼ばれる状態の岩石です。そこから少し風化が弱まると、今度は青緑色から青灰色がかった「ブルーグラウンド」と呼ばれる状態になります。南アフリカの鉱山などでは昔から、この青っぽい岩の中からたくさんのダイヤモンドが見つかってきました。さらに、まったく風化していない本来の姿は「ハードバック」と呼ばれ、暗緑色や黒っぽく、とても硬い岩石です。拾った石が黄色くてもろいか、青っぽいか、黒っぽくて硬いかで、その石がどれくらい外の環境に触れていたかがわかるんですね。
Derived Gemstones
この原石から生まれる宝石たち














