青だけじゃもったいない。「ファンシーサファイア」という大人の遊び場
サファイアは青だけではありません。「蓮の花」を意味する希少なパパラチアサファイア。ピンクとオレンジが織りなす、絶妙なニュアンスカラーの魅力に迫ります。

「サファイア」と聞いて、どんな色を思い浮かべますか?
おそらく、多くの人が深く澄んだブルーを想像するのではないでしょうか。夜空のような、あるいは深海のようなあの青です。もちろん、あの ロイヤルブルー の気高さは素晴らしいものですが、実はサファイアの世界って、私たちが思っている以上にカラフルで自由です。
鉱物学的に言えば、真っ赤な「ルビー」以外のコランダム(サファイアの鉱物名)は、すべて「サファイア」に分類されます。つまり、ピンクもイエローも、グリーンもバイオレットも、みんなサファイアの仲間。この色とりどりの「ファンシーサファイア」の世界こそ、ジュエリーを知れば知るほどハマってしまう、まさに大人の遊び場といえるかもしれません。
奇跡のニュアンスカラー、「パパラチア」
そんな色鮮やかな遊び場の中で、別格の存在感を放つ石があります。「パパラチアサファイア」です。
ジュエリー好きの方なら、その名前を聞くだけで少し背筋が伸びるような、憧れの存在かもしれませんね。「パパラチア」とは、スリランカの言葉(シンハラ語)で「蓮の花」や「蓮のつぼみ」を意味します。
泥の中から立ち上がり、気高く咲く蓮の花。この石が持つ色は、まさにその花びらのようでもあり、あるいは一日の終わりを告げる夕暮れの空のようでもあります。
白黒つけない、という美しさ
パパラチアサファイアの最大の魅力は、その色が「ピンク」とも「オレンジ」とも言い切れないところにあります。
ピンクが強ければ可愛らしくなりすぎる。オレンジが強すぎれば活発になりすぎる。その二つの色が絶妙なバランスで混ざり合い、溶け合うことで、なんとも言えない温かさと気品が生まれるのです。
「これはピンクだ」「あれはオレンジだ」と明確に分類できないその曖昧さ。それこそが、パパラチアの美しさの本質ではないでしょうか。白か黒か、〇か×かで割り切れないことの多い大人の心に、この「どっちつかずの美しい色」は、驚くほど優しく寄り添ってくれます。
あなただけの「夕焼け」を見つける
パパラチアサファイアは、「キング・オブ・サファイア」とも呼ばれるほど希少な宝石です。産出量は極めて少なく、理想的な色バランスを持つ石に出会うのは本当に難しいこと。
鑑別機関の基準で「パパラチア」と認められる範囲は非常に狭く厳格ですが、私たちが楽しむ分には、そこまで神経質にならなくてもいいのかもしれません。
少しピンク寄りの、朝焼けのような石。 オレンジが強めの、とろりとした夕日のような石。
正解は一つではありません。「あ、この色好きだな」と直感で感じたその色が、あなたにとっての最高のパパラチアです。
サファイアは青だけじゃない。もし宝石店で、蓮の花の色をしたこの石を見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。その曖昧で繊細な色の揺らぎの中に、言葉にできない感情や、忘れかけていた情景が見つかるかもしれません。









