「模造品」なんて言わせない。天然石ジルコンの「誇り」
ジルコンのこと模造品だなんて誤解していませんか?キュービック・ジルコニアとは違う、地球最古の天然石の真実と、ダイヤモンドに迫る輝きの秘密。

「素敵な指輪ですね! それ、ダイヤモンドですか?」 「いえ、これはジルコンなんです」 「あぁ……(なるほど、偽物ね)」
もし、宝石に感情があるとしたら、この会話を聞いたジルコンは、悔しさでその身を砕いてしまっていたかもしれません。
宝石好きの方ならご存知かと思いますが、世の中には「ジルコン」と「キュービック・ジルコニア」という、名前がよく似た二つの石が存在します。
そして残念なことに、多くの人がこの二つを混同し、「ジルコン=安価な人造石(模造ダイヤ)」だと勘違いしてしまっているのです。
ここで声を大にして、この石の汚名を返上させてください。
「キュービック・ジルコニア」は、人の手によって研究所で作られた人造石です。 けれど、「ジルコン」は、地球のマグマの中で育まれた、正真正銘の「天然石」なのです。
名前が似ているのは、どちらも「ジルコニウム」という元素を含んでいるから。ただそれだけの理由で、この由緒正しき天然石は、長い間「偽物」のような扱いを受け、誤解され続けてきました。
でも、その実力は本物です。
実はジルコンは、ダイヤモンドに匹敵するほどの高い「 屈折率 」と、光を虹色に分ける「分散」という性質を持っています。 カットされたジルコンを覗き込むと、ギラギラとした鋭い光の中に、赤や青の虹色が鮮やかに躍るのが見えます。その輝きがあまりに美しかったため、かつてはダイヤモンドの代用品として王冠などに使われていた歴史さえあるほどです。
さらに驚くべきは、その起源。 ジルコンは、地球上で発見された鉱物の中で「最も古い」ものであることが分かっています。その年齢は、なんと約44億年。
ダイヤモンドが生まれるよりも、恐竜が大地を歩き回るよりも、ずっとずっと昔。 地球が生まれたばかりの頃から存在し、この星の歴史をすべて記憶している。いわば「地球の大先輩」なのです。
研究所で数週間で作られる石と、44億年の時を越えて私たちの手元に届いた石。 名前は似ていても、そこにある「重み」は全く違います。
もし、ジュエリーショップで「ジルコン」という名札を見かけたら、どうか「なーんだ、模造品か」と通り過ぎないであげてください。
「紛らわしい名前をつけられちゃって、大変だったね」
そう思いながら、その輝きをじっくり眺めてみてください。 数億年の時を超えて届いた、ずっしり濃厚で、どこか誇らしげな天然のきらめきが、あなたの誤解を優しく解いてくれるはずです。




