AlexandriteJanuary 5, 2026

昼はエメラルド、夜はルビー。劇的な変色効果を持つ「アレキサンドライト」の物語

光の種類で色が変わるドラマチックな宝石、アレキサンドライト。ロシアでの発見から、その希少性がもたらす価値、そして二面性が教えてくれる魅力について。

昼はエメラルド、夜はルビー。劇的な変色効果を持つ「アレキサンドライト」の物語

「神様のいたずら」としか思えない石があります。それが、アレキサンドライト。昼間の太陽の下では深い青緑色をしていて、まるで知的なエメラルドのよう。ところが、日が落ちてロウソクや白熱灯の光の下に持っていくと、艶めかしい赤紫色へと一変するんです。「昼のエメラルド、夜のルビー」なんて称されるこの劇的な変化、初めて見たときは本当に手品を見ているかと思いました。

この石が発見されたのは19世紀のロシア。当時のロシア皇太子(後のアレクサンドル2世)の誕生日に見つかったことから、この名前が付けられたというエピソードも、なんだか高貴な感じがしますよね。しかも、当時のロシア帝国の軍旗の色が赤と緑だったため、国石として熱狂的に愛されたそうです。

鉱物学的に言うと、これはクリソベリルという鉱物の一種。微量に含まれるクロムが、光の波長のバランスによって反射する色を変えることで起こる現象です。ただ、すべてのクリソベリルが変色するわけじゃなくて、絶妙な条件が揃った時だけこの魔法がかかる。だからこそ、世界三大希少石の一つに数えられるほどレアなんですね。

私たち人間も、職場での顔と、プライベートでの顔、いろんな側面を持っています。アレキサンドライトを見ていると、「一面だけが真実じゃないよ」と肯定されているような気分になりませんか。昼の理性と、夜の情熱。その両方を持っているからこそ美しい。そんな大人の魅力を凝縮したような宝石だから、いつかは手にしてみたい憧れの存在なんです。

Jewelism Market 編集部
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宝石の「歴史」と「個性」にフォーカス。石そのものが持つ美しさと、背景にある奥深い世界をお届けします。

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