ダイヤモンドを超える「虹色の炎」。スフェーンという光の魔術師
ダイヤモンドを超える「ファイア」を持つ宝石、スフェーン。光を虹色に変える圧倒的な輝きの秘密と、その繊細で情熱的な魅力について解説します。

「宝石の輝き」と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは何でしょうか。多くの人が、あの無敵の硬さを誇る「ダイヤモンド」をイメージすると思います。
でも、もし私が「ダイヤモンドよりも激しく、虹色に輝く石がある」と言ったら、信じてもらえるでしょうか?
その石の名前は「スフェーン」。 ジュエリーショップのショーケースの中で、照明を一身に浴びて、まるで自分自身が発光しているかのようにギラギラと主張している石があれば、それは十中八九スフェーンです。
この石の最大の持ち味は、専門用語で「 ファイア 」と呼ばれる現象にあります。 ファイアとは、石に入ってきた光がプリズムを通したように分かれ、赤や黄色、緑といった虹色の光となって目に届くこと。ダイヤモンドが美しいのも、このファイアが強いからなのですが、スフェーンはなんと、そのダイヤモンドを上回る数値(分散率)を持っているのです。
つまり、光を虹色に分解するパワーにおいては、宝石の王様ダイヤモンドをも凌ぐ実力の持ち主というわけです。
実際にスフェーンを動かしてみると、その凄まじさがわかります。 ベースとなる色は、爽やかなマスカットグリーンや、こっくりとしたゴールデンイエローが多いのですが、その地色の中から、鮮烈なオレンジや赤の光が、バチバチッと火花のように飛び出してくる。その様子は、優雅なきらめきというよりは、まさに「虹色の炎」と言えます。
「光の魔術師」なんて呼ばれることもありますが、実物を見るとその異名にも納得してしまいます。
ただ、このスフェーンには一つだけ弱点があります。それは、ちょっとだけ「繊細」だということ。 硬さで言えばダイヤモンドの半分ほどしかなく、強くぶつけると傷がつきやすいのです。だから、家事をするときやスポーツをするときは外してあげるなど、少しだけ姫扱いをしてあげる必要があります。
でも、そんな儚さを補って余りあるのが、あの圧倒的な視覚体験です。
夕暮れ時の少し暗いバーや、キャンドルの灯るレストラン。そんなわずかな光の中でも、スフェーンは驚くほど豊かな色彩を放ちます。 「とにかく綺麗なものを見て、元気をもらいたい」 そんな気分のとき、ダイヤモンド以上の情熱で輝くこの石は、最高の特効薬になってくれるはずです。
もしお店で見かけたら、ぜひ指に乗せて、少し左右に動かしてみてください。きっと、その中から光り輝く「虹色の炎」に目を奪われてしまうはずです。



